題詠blog 20082008年の日程は以下の通り2008年 2月1日~10月31日:参加受付 2月1日~2月15日:題の募集 ※くわしくはカテゴリの「お題リスト」をクリック 2月29日:題の最終発表 ※作業の都合上「011~100」は16日以降に随時発表 3月1日~10月31日:投稿(トラックバック)期間 題詠ブログ2008 参加作品一覧 001: おはよう 土井さんが「おはやうございます」と言ふ 第一日目のエンデバーより 002: 次 想ひ出の嵩が次第に増して来て時にキラリと光を放つ 003: 理由 「そんなのは理由になっていないよ」とはつきり言つてやらうか 君に 004:塩 もぎたてのトマトに少し塩をつけ顔中口にして食べたつけ 005: 放 開け放す窓より入る春の風 草の香りもかすかに運ぶ 006: ドラマ ヒロインが不安な顔をするときに連続ドラマは「明日に続く」 007:壁 薄き壁を結界として住み分ける我がマンションの百余の家族 008:守 「ここだけの話」の約束守られず今は誰もの共通知識 009:会話 メールには何でも書ける友とゐて会話は何故か途切れがちなり 010:蝶 蝶よ花よと育ちたるにはあらねども値切り交渉いまだに不得手 011:除 「キミみたいな人が好きだよ」やんはりと私は除外の例をされたり 012:ダイヤ 嫁となる乙女の指にきらきらと小粒ダイヤの婚約指輪 013:優 躊躇はず優先席に座りたり 六十八歳資格十分 014:泉 温泉の素を入れたる浴槽に今日の疲れをすつぽり漬ける 015:アジア 「アジア系」とひと括りなり大勢のあまたな国のあまたな人種 016: % 恋愛は100%誤解だと夢の醒めたる六十五歳 017:頭 小節の頭の音が揃はない 少し疲れたシニアコーラス 018:集 キーを打つ指をしばしば止めながら想ひつつ編む母の遺歌集 019:豆腐 「湯豆腐か冷奴しか認めない」 正統派なる夫のこだわり 020:鳩 明け方の夢に入り来る鳩の声朝(あした)の浅き眠りを覚ます 021:サッカー 雨はれて少年サッカー始まりぬ "One, Two, Three!" と気合ひ充分 022:低 低音にトランペットを支へつつベースが父のごとくに歌ふ 023:用紙 メモ用紙、ケイタイ、カメラ、眼鏡、辞書 バッグはだんだん重くなりたり 024:岸 幼な日の我を知る人誰もなき此岸に青く朝顔ひらく 025:あられ 日本の春の光を想ひつつ色やはらかな雛あられ盛る 026:基 「基本線だけでも決める」と開きたる会議がまたも行き詰まりたり 027:消毒 退院の荷物と共に戻りくる消毒薬の強き匂ひが 028:供 子供用デジカメを持つ四歳と我がデジカメとで写真撮りあふ 029:杖 杖をつき「か」の字になりて辿りつく山小屋並ぶ富士の頂上 030:湯気 そこここに温泉の湯気白く立つ河津桜と菜の花の里 031:忍 頭より毛布をかぶり三歳児母の居ぬ夜を忍び泣きをり 032:ルージュ 口紅は仏語のルージュ朝焼けは独語のロート 欠損は赤 033:すいか 日本の夏の記憶は幼な日のすいかとほたると線香花火 034:岡 合歓の木が今年も花を咲かせたり街を見下ろす小高き岡に 035:過去 その心過去に閉じ込め病む人が松本かつじの塗り絵に遊ぶ 036:船 高齢になりて静かに語ります船でカナダに移住せし日を 037:V 発ち際に息子の見せしVサイン 独りごころを少しく癒す 038:有 「西方に浄土が有る」と若き日の母は夕陽を我に見せたり 039:王子 遺されし王子二人にダイアナの憂ひを含む面影を見る 040:粘 四歳と六十歳が笑ひあふ小麦粉粘土を共に捏ねつつ 041:存在 存在を主張するがに輝けり天空高き北斗七星 042:鱗 白雲の薄き鱗の一つとし透き通りさうな昼の月浮く 043:宝くじ 宝くじバッグに二枚常に持つ運がよいかもしれぬワタクシ 044:鈴 ご褒美の金の小鈴の音がするテルテル坊主お手柄の朝 045:楽譜 楽譜には記入しきれぬ哀感を読み取りて弾くジャズのブルース 046:設 設定のどこかが違ひフリーズすコンピューターも私の夢も 047:ひまわり ぼつてりと重たき花をつけて立つ飼料用なる大きひまはり 048:凧 昨日子らと遊びし凧が電線にかかりたるまま雨に打たれる 049:礼 この辺で失礼しますと挨拶しスッと引きたし人生の幕 050:確率 確率は半々なれど君を待つ「くる、こない、くる、こない、くる、くる」 051:熊 熊の胆の黒き丸薬呑みてゐき病み勝ちなりし晩年の父 052:考 考えたことはなけれど「必要とされること」など嬉し 053:キヨスク いつしかに数の減りをりキヨスクの隣にありし公衆電話 054:笛 少しずつ湿らせながらアンが吹く昔ながらの木の横笛を 055:乾燥 幼き日火鉢で祖母が焼きくれき白き粉ふく乾燥芋を 056:悩 宵越の悩みは持たぬらしき夫雪積もる夜を深く眠れり 057:パジャマ 四歳のパジャマの胸に大好きな機関車トーマス停車中なり 058:帽 白無垢の花嫁衣裳に綿帽子口引き結び嫁ぎたり 子は 059:ごはん 包丁の音に合はせてハミングし五目ごはんの具を刻みゆく 060:郎 「いたしやうがござる」と膝をポンと打つ太郎冠者には不可能がない 061:@ 夕空の虹の向かうの@Heaven母はどうしているのだらうか 062:浅 明け方の浅き眠りに入りくるどこかの鳩のくぐもり声が 063:スリッパ ピヨピヨとわざと足踏みして見せるひよこスリッパ履く二歳児は 064:可憐 七十を過ぎてもどこか可憐なりふつとはにかみ目をそらす友 065:眩 母なれどつい目を逸らす 末の子の花嫁姿少し眩しく 066:ひとりごと ひとりごと言ひては自分で答へをり 四歳児にはすべて新鮮 067:葱 日本に売れなくなりし中国の葱がカナダの店にならべり 068:踊 君の声聞けば心の踊りたる日もありたりき 杳かになりぬ 069:呼吸 「ひと呼吸してから子供を叱れ」など昔言はれしこと 070:籍 家族の名すべてに×がつけらるる除籍謄本愕然と見る 071:メール 友よりのメールに添えて送られてわがパソコンに彼岸花咲く 072:緑 まだ濡れて緑の雫落としたり 藍の染料吸ひたる絹が 073:寄 上げ潮の河口の水に浮かびつつカナダ雁たち岸に寄りくる 074:銀行 約束はM銀行のロビーとす また「サザエさん」読みて待つべく 075:量 推量で悩むなとだけ窘めて診断結果を待つ母に沿ふ 076:ジャンプ その体をスキーに沿はせ伸ばしつつジャンプの選手空を切りゆく 077:横 横にある鉛筆メモの小さな字却つて強く本音を語る 078:合図 目に合図交はし合ひつつデュエットす 友はソプラノ 079:児 二歳児がつま先立ちをするときに少し近づく五歳への距離 080:Lサイズ 四歳の小さき体に宿りをりLLサイズの夢見る心 081:嵐 過ぎ行きし嵐の後の水溜り ぴちゃりぴちゃりと児の靴が踏む 082:研 研修の最終日なり 分かれればおそらくはもう逢はぬ同士で 083:名古屋 味噌汁は赤味噌仕立てと決めをりき名古屋育ちの父の場合は 084:球 沈みゆく夕陽を海に見送れば太陽やはり地球を巡る 085:うがい 「うがい、うがい!」と母に叱られ育ちたり 人の悪口言ひたるときは 086:恵 天の恵み今年の夏は少なくて胡瓜もトマトも不作気味なり 087:天使 「天使にはまだ逢はないでいられさう」九十六歳につこり笑ふ 088:錯 「幸せも不幸も所詮錯覚」と少し寂しき夫の述懐 089:減 体重を少し減らせと言はれたる今日は〈最後の〉ケーキ食べやう 090:メダル 金メダル獲れたる時の「君が代」は誰も不服を言はず聴きをり 091:渇 渇きたる心を少し潤して細かき雨が紅葉を濡らす 092:生い立ち 久々に逢ひても話がよく弾むその生い立ちが似たる優子と 093:周 芦ノ湖の周遊船に見下ろしぬ水に写れる富士の姿を 094:沈黙 沈黙は金でも銀でもない時代自分の言葉で自分を護る 095:しっぽ カンガルーのしつぽのスープの缶詰をオーストラリアの土産に買ひき 096:複 複雑な計算はすべてお任せで確定申告ソフトが済ます 097:訴 訴へは皆まで聞かずレフリーはイエローカードをついと差し出す 098:地下 シャルドネの今年のワインが発酵すオークの樽の並ぶ地下室 099:勇 カナダまで移住して来ぬ 勇敢か無鉄砲かは結果次第で 100:おやすみ をさな児に母が言ふ時「おやすみ」はほの暖かく夢をいざなふ |